sweet summer vacation

 台風と地震を乗り越えて向かった先は、本当の「夏」だった。


 というわけで、えーと、先日2人で「街道をゆく」っていうか山歩きっていうかなんというかな旅をしてきました。前から「一眼レフのデジカメ欲しいんだ」といっていたんですが買ったそうで、じゃあいろいろ写真撮りに行こう!ということで行ったわけです。なんてさわやかなんだ!。

 今回、俺は日帰りですが相方は前日から泊まりでした。しかしこともあろうに前日、日本列島に台風が上陸し、兵庫県を中心にかなりの被害が。予想では翌日昼過ぎに関東地方付近を通過、ということで、こりゃ無理か?という感じもあり、「明日どうしようか?私帰れるかな?」というメールが来たのです。

 しかし俺は調べた。地元気象台によると目的地周辺では台風による影響はさほど予想されておらず、しかも昼過ぎには晴れる。なにしろ気象台調べだからそこらへんの天気予報とは一味違うんだぜ。というわけで「明日は晴れるから大丈夫だよ」と返信。決行することにしたのです。

 その日は結局夜2時過ぎまで仕事があり、翌朝は6時発。というわけで1時間半だけ寝て5時に起き、出かける準備をしていたら…揺れてる?
 最初は寝不足の俺が揺れているだけかと思っていたのですが、周りを見ると確実に揺れている。地震があるといつもそうするように即座にNHKをつけてみると…「静岡県震度6弱」。
 「静岡で6弱、やばくね?」と俺は割と大きな独り言を発してから電源入れっ放しだったPCで俺の街と彼女の泊まっているあたりの震度を調べた。うちは震度4、あっちは震度5弱。とりあえず「地震大丈夫?」とメールを送って家を出た。
 街の様子は普段と何も変わりなく特に被害は出ていないようだった。地震とか天変地異があった場合、とりあえず目的地に行けるか?ということの他に俺の場合は「仕事で呼び出されないか?」という、さらに大きな不安がつきまとうのです。まあしかし県内に目立った被害はなさそうであり、しかももし呼び出されたら前の日の夜にクルマかなんかで現地に行って帰れなくなったことにしちまえ、ということで始発の特急に乗った。
 電車は徐行や不通の影響で予定より50分遅れで到着。しかし着いてみたらびっくり。まさに夏空というにふさわしい快晴の青空が広がっていました。


 で、2人で強い日差しの夏空の下、山あいの道を歩きました。いい景色があれば写真撮りながら、古民家の休憩所に寄ってお茶を飲みながら、途中の古い宿場でかき氷食べながら。「なんだか『夏休み』だよね」って言ってました。俺も今年初めて本当の夏だなあ、と思った。向こうはどう思ってるかわからないけど、やっぱり一緒にいると楽しいんだ。


 帰りは以前俺の住んでいた街に出て夕飯を食ったのですが、最初に入った店はちょっといまいちな感じだったので2軒目は前に何回か行った事のある割といい感じのバーへ。そしたら前の店とはちょっと表情が違いました。あんまり細かいことは気にしない感じの人ですが、やっぱり雰囲気って大事なんですね。
 なにしろ眠ってないし歩いて疲れているので酔いがすぐ回る。調子にのって「ほっぺたぷにぷにしたーい」といったら断られました。「100万円」だそうです。100万円のほっぺたを持つ女。あと、旅先で下らない発見をして別の女の子にメールを送った話をしたら一瞬表情が曇ったのは俺の気のせいだろうか、それとも一応気にしてくれてるのかな?


 そんなこんなで、梅雨が明けたのかどうかはっきりしないような今年の夏の中で、本当に「夏」の1日でした。願わくば来年はもっと長い本当の夏が来るように。